コラム「南風」 ベトナムからの留学生


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 ここ数年、ベトナムから日本への留学生が急増しているのをご存じだろうか。2009年5月1日時点での申請者数は133人で、海外から日本へ留学申請する全学生の2・4%、上から数えて12番目の国であった。

その数は年々上昇し、13年5月1日時点では1万3799人、14年同日付けでは2万6439人で、中国に次いで2番目に留学生の多い国になったのである(日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査」)。
 先日、東京行きの飛行機の中で、とある日本語学校へ入学する留学生数人と話す機会があった。「日本人の働き方を学びたい」「幼いころに読んだマンガから文化に興味を持った」「最先端のテクノロジーを母国に持ち帰りたい」―。彼らの日本語はまだたどたどしいながらも、なぜ留学したいのか、一生懸命話してくれた。また、「将来の就職」という実利的な留学目標を皆一様に持っていた。
 ベトナムに進出している日系企業数は、2014年3月時点で1077社に上る(ジェトロ=日本貿易振興機構)。日本とベトナムの経済関係が拡大する中で、将来日本で就職することや、在越日本企業への就職を希望する若者が増えている。さらに、福田内閣が2008年に打ち出した「留学生30万人計画」を受けて、アジア各地で日本留学フェアが開催され、留学斡旋(あっせん)が活発化していることも日本への留学を促している一因になっているようだ。
 職業によってばらつきはあるが、平均月給が約200ドル程度のベトナム人にとって、一般的な日本留学費用、約100万円という金額は、日本人の平均年収を400万円とした場合、約2千万円支払うようなものである。それでも、と思う彼らの溢(あふ)れんばかりの意欲と揺るぎない向上心には、胸を打つものがある。われわれ日本人が、彼らのその姿勢から学ぶものは多い。
(金城れい子、民間企業ベトナム事務所勤務)