コラム「南風」 米食うベトナム人


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 ベトナムにいてよく思うことの一つに、人々がよく米を食う、ということがある。私は、毎日の昼食をC’m Binh D■n(コンビンザン)というご飯と好みのおかず何種類かを盛ってもらう、いわゆる大衆ビュッフェ食堂のような所で食べる。いつも大量にご飯を盛られるので、毎回、少しでいいよ、と言うのだが、ベトナム人は華奢(きゃしゃ)な女性であっても、ご飯茶碗(わん)にして2、3杯はあるその米を平らげる。

 日本も主食は米であるが、米離れの印象は拭えない。旅行サイト、トリップアドバイザーによると、一人あたりが1日に消費する米の量は、1位のバングラデシュから順に、ラオス、カンボジア、ベトナム、インドネシアとアジア諸国が続くが、日本はなんと、50位であった。確かに、日本の食は米以外にも、そば、小麦という材料を多用し、食事の選択肢が多いという側面もある。しかしながら、ベトナム人も、フランスの植民地統治を受けた影響でバゲットをよく食べるし、中国文化の影響で卵麺を食べもする。ただ、異なるのは、米を使った食のバリエーションが圧倒的に多いということである。
 麺だけとっても、平たい米粉麺Pho’(フォー)、ビーフンのようなB〓n(ブン)をはじめ、米から作られるものが何種類もある。かつては形が違うというだけで同じにしか思えなかったそれが、いつからか、今日は牛肉入りのフォー、明日は魚入りのブン、と食べ分けられるようになった。日本でも有名になった生春巻きも、皮は米から作られており、ライスペーパーの厚さや柔らかさが違ったり、揚げたりすることで、また違う料理になる。
 このような食は、大抵は屋台や小さな大衆食堂などで食べられる庶民の味である。高級宮廷料理もいいが、ベトナムにお越しの際は、ぜひお試しあれ。
(金城れい子、民間企業ベトナム事務所勤務)

※注:■はキャレット付き「a」
※注:〓はアキュートアクセント付き「U」