コラム「南風」 小論文の効果


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 私は自分の考えを文章で伝えるのが下手です。しかしいつまでもそれを避けてはいけないと、一念岩をも通す思いで小論文を習うことにしました。

 指導してくださる「総合国語塾」代表の崎山先生は「小論文は漠然と書くよりも、前半は物事の分析や考察を行い、問題点を見つけて対策を考える。後半は反対意見を考慮し、それを論破するなど、最初はある程度の『型』に沿って書くと伝わりやすく、読み手は納得する」とおっしゃいます。そうやってさまざまな「型」で書くと、自然に考える習慣が身につき、だんだん自分なりのスタイルができあがっていくそうです。
 この「相手を納得させる」という小論文の考え方はビジネスにも応用できる、と直感しました。例えば、新事業を始めるにあたって市場の分析や考察を行い、問題点を指摘する。そのための提案としてこの事業に取り組む―という流れで説明できれば、関係者に伝わりやすいと感じました。新商品を取引先に提案するときも同様です。例えば「沖縄そばセット」を販売したいときは、市場・他社の販売価格、内容、品質、パッケージなどを分析・調査した上で商品づくりの趣旨を説明すると伝わりやすいでしょう。
 「反対意見を考慮し、それを論破する」という手法もビジネスに使えます。「売れない場合はどのようなケースが考えられるか、その場合取引先にどう対応するのか、フォロー案はどれくらいあるか」といったことまで考えて交渉に臨むようになりました。
 「考える習慣が身につく」の言葉通り、小論文を習うようになってからは日用品の購入でも一考するくせがついた気がします。大学入試や就職試験対策で小論文を習う人は多いと思われますが、それ以外でも、何かにチャレンジしたい方にはぜひお勧めします。
(佐久間健治、三倉食品代表取締役社長)