コラム「南風」 ネイティブの話


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 映画愛好家の中には、好んでアメリカ西部劇を観賞している人も少なくないだろう。そうした映画には、「アメリカインディアン」の勇壮な姿が描かれることが多い。現在、彼らの呼び名は「ネイティブアメリカン」である。

 1967年、アメリカ中西部のカンザス州にある観光遺跡を訪れるチャンスがあった。そこで「インディアン居住地遺跡」を訪れた。住宅のつくりが昔の沖縄の家の設計とほとんど似ていることに、驚きを覚えた。ネイティブアメリカンと沖縄人とは同じ人種ではないかと、未熟な疑問がわいてきたのである。
 そして69年、テネシー州の「インディアン保護地域」を訪れる機会があった。彼らはアメリカ政府の保護の下で、隔離された地域で生活している。保護地域に住むネイティブアメリカンの生活状況を見るために、多くの観光客が訪れていた。集落の長と彼の娘は独自の衣装をまとい、案内役をしていた。その長は終始私を見つめ、近寄ってきていわく「あなた方の種族は何ですか」。私は答えた。「私は日本人、ネイティブ沖縄人です」。すると彼は即座に言った。「あなたはわれわれに似ている。われわれの種族だろう。思い出に記念写真をとろう」と、うれしそうに話してくれた。その写真が私にとって、記念のオンリーワンである。
 私はそこで、沖縄の黄金言葉「行逢(いちゃり)ば 兄弟(ちょうでー)」を思い出した。彼と私の出会いこそが、生きた沖縄の伝統文化であると思い、感無量になった。
 沖縄には道徳の指標となる黄金言葉がある。それは沖縄の伝統文化、ネイティブカルチャーであり、貴重な文化遺産の一つである。私たちのネイティブカルチャーを誇りに、沖縄の伝統文化が異文化の中でも、自由にその真価を発揮する日が来ることを期待している。
(座間味宗治、沖縄語普及協議会副会長・臨床心理士)