コラム「南風」 出会いで人は変わる


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 10年前になりますが、本社工場を移転し、ご近所を挨拶(あいさつ)した時に出会い、以来とても親しくなり心の底から感謝している社長さんがいます。その方は人のために生き、いつでも明るく、人を喜ばせることが好きで、自分のことよりも相手や地域の発展のことを考える方です。

 「人事の評価はどのようにしたらいいのか」「○○な時にどうしたらいいのか」と経営のことで独り悩む時、相談できる相手がいない私にとっては、何か困ったことがあればすぐに会って本音で相談し合える、とても頼れる方です。人生の先輩であり、時には友人であり、父親のように思うこともあります。まさに私の人生を変える出会いでした。
 人は出会う人によっては、ダメになることもあるし、見違えるほどよくなることもあります。しかしそれは実は相手ではなくて、自分自身の問題だとも思います。自分自身がどういう人との出会いを求めているのか、ということです。思いを受け止めてくれ、心から本音で話をしてくれる人も大切ですが、時には苦言を言い、正してくれる人を求めることが、さらに大事ではないでしょうか。「これは必然かそれとも偶然か」と問い掛け、自分が今どんなことを望み、どんな人に出会いたいのか―。それによって良い出会いが生まれると思います。
 人の出会いは、そもそも縁がない人とは縁(出会い)がないし、追い求めても無駄とも思えます。自分自身が学ぶ意識を高め、自己成長させないと、良い人とは出会えません。良い縁のためには、謙虚であり、学ばなければならないと思います。
 私が尊敬できる方はきっと身近で困っている人、また自分を必要としている人の支えになりたいと思って生きているのだと思います。私もそんな人になりたいと心から願っています。
(佐久間健治、三倉食品代表取締役社長)