コラム「南風」 わが家の国際交流


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 昨年秋、ソウルの友人に招かれ家族でソウルを訪れた。ソウルの友人は多士済々である。文(ムン)教授は延世大学医学院の教授。米留組で米国の医師資格を有し、べトナム戦争の最前線に軍医として従軍した。毎年、慈善パーティーを催し、韓国の障害のある子供たちに車イスなどを贈り続けている。私たちはその30年目の節目のパーティーに招待された。

 黄(ファン)さんは、韓国の大手マスコミの社長。記者歴が長く、日本の新聞にも論説を書く。李(イ)教授は作曲家でギタリスト。韓国ドラマや映画音楽の第一人者で、欧米にもファンが多い。大の沖縄好きだ。張(ジャン)社長は韓国・中国を股にかけ会社を多角経営する実業家だ。
 さて鄭(チョン)ご夫婦はわが家の国際交流のキーマンである。ご主人は元外資系会社の役員で普段は寡黙だが、時折流ちょうでウイットにとんだ英語でわれわれを笑わせてくれる。奥さんはソウルの江南で高級ブティックを経営する天真爛漫(らんまん)な女性。わが妻とは姉・妹と呼び合い、国境がない。その息子はなかなかの好青年である。
 文教授のそのパーティーで、若い医師と出会った。何と面白いことに坂本龍馬に興味があり、韓国語で読んでいるとのこと。偉人は万国共通なのである。ソウルの仲間とはソウル、沖縄はもちろん、北海道や箱根の温泉などを旅行してきた。
 さて、われわれが、どのようにコミュニケーションをとっているのかと不思議がられるが、お互いを理解しようとする心が重要である。英語、韓国語、日本語が飛び交い、時にはボティーランゲージを駆使する。それでも分からない時は、皆でわが娘に暗黙のサインを送り、通訳の役目をしてもらって、かろうじてコミュニケーションが図られている。わが家の国際交流に貢献している娘に感謝である。
(宮城和博、弁護士)