コラム「南風」 企業の選び方


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 仕事がら学生さんとお話する機会があるのですが、「ブラック企業」に関する質問をよく受けます。その定義は人によりさまざまですが、この言葉の流行を機に「働き方」や「働かせ方」に対する意識が高まっていることを感じます。

 現在、「若者新法」と呼ばれる勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案が国会に提出されています。この法案では一定の労働関係法令に違反する企業について、新卒者の求人申し込みをハローワークが受理しないことを可能としています。
 併せて、若年者の雇用管理の状況が優良な中小企業について、厚生労働大臣による新たな認定制度を設けることとしています。すでにハローワークでは、一定の労務管理体制が整備され、詳細な企業・採用情報を公表しているなどの要件を満たす企業を「若者応援宣言企業」としてPRしていますが、この事業を拡充するものです。
 そのほかにも、労働局では子育てのサポートに積極的な企業を、県では人材育成やワーク・ライフ・バランスに優れた企業を認定・認証する制度を設けています。学生の皆さんには、企業を選ぶ際の参考にしてもらえたらと思います。
 気がかりなことは、就職しても3年以内に離職する割合が、大学卒で5割超、高校卒で6割超と極めて高くなっていることです。安易な離職は本人のキャリア形成にプラスになりませんし、企業にとっても中核となる人材が育たないなど、双方にとって良いことではありません。
 現在、労働局では、新入社員の悩みに先輩社員が応じる「メンター制度」の導入を進めています。上司でも同僚でもない職場内でのナナメの人間関係を強化し、安易な離職防止につなげる狙いがあります。来月から本年度のセミナーが始まりますので、多くの企業の参加をお待ちしています。
(國代尚章、沖縄労働局職業安定部長)