コラム「南風」 沖縄への想い


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 沖縄に赴任してもうすぐ2年になります。夏の暑い夜、一抹の不安を抱いて初めて降りた那覇空港も、今では出張から帰るとホッと感じるまでになりました。

 この間、幸いなことに多くの方と知り合うことができました。沖縄の人のつながりの濃さを実感するとともに、泡盛を片手に多くのことを教えていただき、たくさんの刺激を受けました。
 また、私の出身地である兵庫県や、前任地であるフランスと沖縄とをつなぐ強い絆があることも分かりました。今後は、その絆をさらに強くすることに貢献できればと思います。
 赴任中、全ての離島を訪れることはできませんでしたが、地域により言葉や風習が大きく異なることを知りました。しかしながら、根底に共通する「ゆいまーる」の精神は、全国的に地域のつながりが希薄になる中で、世界に誇れる沖縄の財産だと思います。
 私の本業では、2年前に0・5倍台だった有効求人倍率が0・8倍台に達するなど、雇用情勢が大きく変化しました。しかし、雇用の質の向上やミスマッチの解消は、まだまだ道半ばの状況にあります。
 そうした中でも、本年3月に「沖縄の雇用・労働環境の改善に向けた共同宣言」を公労使で行ったことは、うれしいことでした。これを機に各業界や企業において、労働環境の改善や生産性の向上に向けた議論が広がればと思います。
 現在、県産品のブランド化に向けた動きが広がっています。今後は、沖縄の「人材力」をブランド化していくことも必要でしょう。そのためには、若者の人材育成や正社員化を各業界の課題として捉え、取り組みを重ねることが不可欠です。
 私はやがて沖縄を離れることになりますが、沖縄の雇用をはじめ経済社会のさらなる発展のため、今後も微力ながら尽くしていきたいと思います。
(國代尚章、沖縄労働局職業安定部長)