コラム「南風」 石好きな人々


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 「『おきなわ石の会』の方ですか。新聞で見たが、石の会というのは、何をするのか」という電話。説明を理解したかどうか定かではないが「是非参加させてほしい」という。時には「面白そう」「金持ちになりそう」「おじいが大事に床の間に置いてある石が分かりそう」。極めつけは「立派な墓石が探せそう」と自己満足型の方々だ。時に医者から「退職した医師の集まりですか」と聞かれ面映(は)ゆい思いもしたりする。

 「石の会」は、今年で発足11年目になる。「石に関する全ての研究、観察などを通して自然の仕組みを知る」と大上段に構えた内容の目的で活動している。登録会員は100余名であるが、毎回参加者の駐車場とトイレの確保に苦闘する。
 石は、人生最後に愛(め)でるものと言われるが、石好きな人の何と多いことかとビックリしている。会員の中には、金鉱を探すため磁石棒を持参する者や外国旅行に備え石の名前を知りたいとか、石のコレクションを増やしたいなど老若男女さまざまである。不思議に思うことは、若い女性会員の多いことである。メモをとるなど態度は決して冷やかしではない。暑い中を歩き回り、やたらと立ち止まっては石を眺めては言い合いをしている、そのような光景の何が彼女らを引きつけているのだろうか。キラキラ光る宝石の類いか、色のきれいな石の発見を願ってかと思うが違うようだ。一度は聞いてみたいと思っているが、まだ機会がない。
 さて、サイエンスカフェやサイエンスミーティングがはやりである。会では、発足時に喫茶店で科学談義をやったことがある。つまり科学普及の一環としての先駆けでもある。科学を楽しみながら学ぶのも会のねらいだから。しばらく自然のことや石の話を紹介しよう。ヒトは死んだら石になるし、また石になった生き物も多いのだから。
(大城逸朗、おきなわ石の会会長)