コラム「南風」 家族経営でファブレス


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 はじめまして。幸隆と書いてユキタカと読みます。むかし小学校の朝の点呼で、先生から「コウリュウくん!」と呼ばれ「ユキタカです!」と返事したところ、「コウリュウがいいのに」と言われました。少し、トラウマです。ついでながら家族や親戚からは「ユキボー」と呼ばれてました。

 現在オキネシアという会社で地域資源を生かしたモノづくりに取り組んでいます。熟練のパート社員を含め総勢6人の小さな会社です。その中に、創業時から縁の下で孤軍奮闘してくれている妹と、家事・育児と経理の両輪で強力サポートしてくれる妻がいます。また唯一の男性社員として営業を牽引(けんいん)してくれる頼もしいおいっ子もいます。典型的な家族経営で、コツコツ歩んで参りました。売り上げもコツコツなので、「遠慮しないでもっと儲(もう)けなさい」と周りからの叱咤(しった)激励もしばしばです。
 当社は自社工場を持たず製造販売を行うメーカーなので、「ファブレス」と呼ばれたりもします。ファブ(工場)とレス(ない)がくっついて「工場を持たない製造業」という意味です。ファブレスでは多様な製造者とコラボして商品開発を行うことが可能です。ただし、商品を企画する側と製造する側との信頼関係がなければ納得のゆく製品は生まれず、長続きもしません。尽きるところ人間関係が最も大切です。創業以来、個人・法人問わず素晴らしい製造パートナーに恵まれ、黒糖・菓子・のど飴(あめ)・飲料・お香・化粧品など、零細ながらも多彩な地場産品の開発にチャレンジすることができました。
 本コラムではモノづくりにまつわる話について書くことを期待されているのだと思います。でも「期待は裏切られるためにある」とも言います。向こう半年間、脱線コラムになってもお許しくださいね。
(金城幸隆、オキネシア代表取締役社長)