コラム「南風」 上司で目覚める


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 私はこの会社の4代目の社長です。前社長とはちょうど10歳離れ、私が新入社員のときから社長に引き上げてくださるまでの22年間ほぼ直属の上司でした。

 当社は人材派遣や受託サービスといった人材ビジネスの会社ですが、そのビジネスが「黎明(れいめい)期」と言える27年前、前社長はりゅうせき本体から課長待遇で当社に出向。その2年後に移籍し、派遣元としてのあるべき姿をともに模索し、ともに汗をかいてきたように思います。
 私は28歳、入社5年目で受託サービス部門の係長となりました。そのあたりから仕事上のことで判断に迷った時に上司に相談すると、「ひとつ上の役職になったつもりで判断してごらん」「あなたはどうしたい」。すぐに判断して回答するのでなく、その仕事に当事者意識を持たせ、また自らの行動につなげていけるように、質問で返されることが増えてきました。
 そのうち、私の相談の仕方も「この件はこうしたほうがいいと思うのですが、よろしいですか」と「確認」へと変化していき、おかげさまで仕事により能動的、かつ積極的に取り組むようになったと思います。
 見た目はアイパーヘアでおとこ気たっぷりの前社長ですが、まさにイクボス(育児に協力的なボス)で、私たち女性社員の結婚・出産をわが事のように喜び、休みやすいよう、後任の配置も自ら動いてくださいました。
 女性は総じて真面目で会社や上司の要求に応えようと頑張りますが、リーダーシップを積極的にとることはあまり訓練されていないように思います。私の元上司のように女性部下のライフも理解しつつ、ワークにおいても日々のコミュニケーションを工夫することで、目覚める女性社員が増えるのではないでしょうか。元ボス、東亜運輸の國吉元社長に感謝を送ります。
(名嘉村裕子、りゅうせきビジネスサービス代表取締役社長)