コラム「南風」 2019年への一歩


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 2011年にラグビー王国ニュージーランドで開催されたW杯。「観客400万人のスタジアム」というキャッチフレーズを掲げ、官民一体となった取り組みで国中がラグビーの香りに包まれていた。あの高揚感は一生忘れない。

 あれから4年、ラグビーW杯が巡ってきた。開催地は、ラグビーの母国イングランド。ゆかりの地とされるラグビー校やラグビー博物館もあり「ラグビーの聖地」である。試合を堪能し、ラグビーをより深く知るにはまたとない機会だ。
 さて、4年後は日本にW杯がやってくる。成功には国を挙げての盛り上がりが不可欠だが、翌年開催の東京オリンピックに比べ、ラグビーファン以外への認知度はまだ低い。そこで機運をもっと高めようと、沖縄を含む全国12エリアで「ラグビーワールドカップ2019推進教育」が開催される(詳細は県協会HP)。
 来年には、チームキャンプ地の選定プロセスが公表される。すでに多くの自治体が関心を示しているが、読谷村もその一つ。石嶺傳實村長は、県ラグビーフットボール協会顧問で元ラグビーマンだ。今年3月、村長のもとに7人のメンバーが集まり、わずか1カ月後には村を紹介した特性パンフレットと「夢」を抱えて、ラグビーW杯組織委員会に要請に行った。
 何かに挑戦する時、「考えてから動く」か「動いてから考える」のか。それぞれに善しあしがあるが、考え過ぎて時期を逸したり、できない理由ばかり探して動けなくなるケースは多い。レフェリー委員長を長く務めた石嶺村長の下したジャッジは後者。結果、動いたことによって多くの情報も得た。組織委員会を後にする時、キング牧師の言葉を思い出した。「思い切って最初の一歩を踏み出しなさい。途中の階段の全てを見る必要はない。まず第一歩を踏み出しなさい」
(安村光滋、県ラグビーフットボール協会理事長)