コラム「南風」 薬と「肝腎要」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今の生活になくてはならないものは何でしょうか。スマホ、車、テレビ、お金など、人によっていろいろありますね。もちろんそれらも大切ですが、何よりも自分が健康であることが一番です。

では、健康に欠かせないものは何でしょうか。「肝腎要(かんじんかなめ)」という言葉があります。人体にとって極めて重要な臓器である肝臓と腎臓からこの言葉ができています。この二つの臓器は主に不必要な物質を分解し、体の外に出しています。もし、肝・腎の働きが弱まれば、体に必要のない物質が溜(た)まり、不健康な状態になります。
 薬も本来は体には存在しない化学物質であるため、分解され排泄(はいせつ)されます。つまり薬が適正に効果を発揮するには、薬に対する肝・腎の働きを考えることが非常に大切です。そのため医師は体への負担は最小限で最大の効果を出せるように考え、薬を処方しています。
 「模合があるからお酒で」「飲み忘れたから1度に2回分」という飲み方をしていませんか。錠剤を噛む、市販薬を何種類も服用する、あるいは、人に勧められた薬を飲んだり、少し良くなったから自分の判断で中止したりなど、知らずに間違った飲み方をしていませんか。これでは肝・腎への影響を考えるどころか、その前に重大な副作用を招いてしまいます。また、複数の病院・薬局から薬をもらっていませんか。サプリメントや健康食品をとっていませんか。薬同士はもちろん、飲食物などとの相互作用(飲み合わせ)も確認する必要があります。
 間違った飲み方をすると毒にもなる薬。体質やアレルギーはもちろん、薬局でいろいろ聞かれる理由には、薬剤師職能を活用した医療のセーフティーネットが機能しているのです。安心安全に薬を使用していただくためにも「かかりつけ薬局・薬剤師」にご相談ください。
(吉田洋史、沖縄県薬剤師会理事)