コラム「南風」 東京沖縄県人会と辺野古


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東京沖縄県人会の定期総会で出された「辺野古新基地建設に反対する決議」についての緊急動議は、執行部が理事会で協議することで収め、まずは常任理事以上の幹部を招集して対応を協議しました。

幹部会では意見が割れました。「親睦と交流を目的とする団体なので、政治的な話題は持ち出すべきではない」。それに対して、「会則で沖縄県の軍事基地の縮小撤去を含む平和推進に関する事業を謳(うた)っており、県民の民意を尊重して反対決議をすべきである」など、結論が出ず堂々巡りでした。
 私は「動議が発議された以上、執行部として回答をしなければならない。県民の民意を尊重して、辺野古問題について東京沖縄県人会としての見解を発表したい」と提案、幹部の賛同を得て起案した見解を理事会で協議し、決定しました。以下、見解の一部を紹介します。
 「~昨年の辺野古基地問題を最大の争点とした名護市長選挙、名護市議会選挙、沖縄県知事選挙、衆院議員選挙すべてにおいて『辺野古新基地反対』の圧倒的民意が示されました。しかしながら政府は、翁長雄志知事による海上作業停止指示を無視し、作業を進めています。こうした政府の沖縄県民の意思を無視した姿勢は、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊するものであり、もはや『辺野古』は沖縄だけの問題ではなく日本の民主主義のあり方が問われています。(略)東京沖縄県人会は、50年、100年先の沖縄を見据えて子どもたちや孫たち、これから生まれてくる世代のためにも『平和で豊かな郷土』を希求して辺野古新基地建設は不要であると考えます。辺野古のある大浦湾はジュゴンが生息し、貴重なサンゴが群生する素晴らしい海です。沖縄の宝です。この貴重な自然財産を破壊し、将来に禍根を残すような新基地建設の断念を強く要求します」
(仲松健雄、東京沖縄県人会会長)