コラム「南風」 東京で広がる琉球舞踊


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 東京沖縄県人会副会長の川口喜代子さんは、「東京琉球舞踊協会」会長を務めています。同協会は、東京沖縄県人会の沖縄芸能部として活動していた組織が独立し、2000年に創設されました。

その目的は、琉球伝統舞踊の普及を図りながら後継者を育て、継承するためです。
 同協会は、川口会長が主宰する喜扇本流千歳会「川口喜代子琉球古典舞踊研究所」を筆頭に、15人の師匠が主宰する研究所・琉舞道場で構成され、協会員は200人を超えています。お弟子さんたちの出身地は、沖縄県出身者と本土出身者が半々だとのことで、他府県の方々の琉舞への関心の深さがうかがわれます。
 発足当初は、さまざまな流派の師匠が集まっているため、ご苦労もあったようですが、川口会長の「鶴の一声」でうまくまとまり、創設15年を迎えています。発足から今日まで営々と、沖縄の芸能・文化の発信と継承・発展に大きく貢献しています。来年5月、国立劇場で開催される公演「翔舞」に向けて励んでいらっしゃるところです。
 さて東京沖縄県人会は、毎年、同協会の協力のもと「沖縄芸能フェスティバル」を開催しています。本年は12月26日に板橋区立文化会館大ホールで、「琉球舞踊」「琉球民謡」「沖縄ポップス」の三部構成でお届けします。沖縄芸能の持つ情緒や癒やしを堪能しながら、郷里をしのび、老若男女皆で楽しんでもらおうと趣向を凝らしています。鑑賞する方々の心を豊かにするようなフェスティバルにしたいと願っています。
 沖縄の伝統芸能は国の重要無形文化財にも指定され、地元はもちろん、国内外からその素晴らしさと普遍性が認められています。琉球舞踊を全国、そして世界に広げていく牽引役のひとつとして、東京琉球舞踊協会にエールを送りたいと思います。
(仲松健雄、東京沖縄県人会会長)