コラム「南風」 薬局の「地域力」


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 薬剤師会をはじめPTAなどいくつかの団体・組織で役員をさせていただくことがありますが、どこも共通の悩みを抱えているようです。会員の獲得や活動への取り組みを高めることに苦労しています。

少子化による人口減もあるのでしょうが、活動自体に魅力を感じない、メリットがない、面倒くさいといった声も聞こえてきます。弱体化の理由の一つには、人間関係の希薄化があると考えます。
 ネットの普及により、膝と膝を突き合わせた心の通うコミニュニケーションが減っていて、想像力の欠如とも言える、相手への思いやりや気遣いの心があれば起きないと思うような事件もよく耳にします。核家族化による地縁的なつながりの希薄化もあり、地域が安全でなくなってきています。解決の糸口は「地域力」の向上で、必要なのは一人一人の「思いやり」と「感謝」の気持ちではないかと思います。
 そこで、沖縄県内にある約550の薬局も、微力ながら地域力の一端を担えるのではないかと考えています。薬局でゆんたくしながら、薬についての正しい知識も身につけてもらえたらというのが理想です。
 厚生労働省は一般用医薬品や健康食品などの助言や健康に関する相談、関係機関への紹介などを行う機能を担う「健康づくり支援薬局(仮称)」を提唱しています。つまり、健康情報拠点として地域の中心となる薬局です。
 背景には、慢性疾患を抱え、複数の医療機関に通院している場合などに同じ成分の薬が重複して処方されてしまうケースが増えている、という実態があります。顔なじみの薬剤師がいる「かかりつけ薬剤師・薬局」を持ち、一般用医薬品を含め、一元化してチェックしてもらうと安心です。
 この情報が、本当に届いてほしい皆さんの目に触れることを願うばかりです。
(吉田洋史、沖縄県薬剤師会理事)