コラム「南風」 神々しい大先輩


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 テレビの「世界の村で発見!こんなところに日本人」という番組でアフリカ・ザンビア共和国に住む県出身の高良初子さん(81歳)が取り上げられていました。興味深く見入ったのは、高良さんが「世界のウチナーンチュ」というだけでなく、かつて、りゅうせき創業者・稲嶺一郎氏の初代女性秘書として勤務され、りゅうせきレディースの大先輩でもあるからです。

 高良さんの人生をダイジェストでご紹介します。沖縄戦で焦土と化した沖縄が貧困から脱するには教育しかない、という信念のもと、那覇高校から琉球大学を経て、県内企業数社で懸命に働きます。一方で高良さんには「琉米親善学校を創設したい」という夢があり、その実現のため、37歳で青山学院大学へ入学、42歳でスコットランドに留学(何という行動力!)。そしてザンビアの方と知り合い、現地へ。そこで貧困にあえぐ子どもたちに胸を痛め、「何とか人々を救いたい」という一心で、沖縄に帰り、物資を集めザンビアに送る活動をされたのです。
 その後ザンビアに留まり、多くの貧しい子どもたちの面倒をみて、教育を受けさせました。高良さんはとても小柄な方ですが、現地では「ビッグママ」と呼ばれザンビア初代大統領(91歳)とも深い親交を持つほど。初代大統領が高良さんにかけた言葉です。
 「彼女は私の妹です。違う国から来て、人種も違うザンビアの人々にしてくれたことを忘れません。彼女は多くの若者、特に子どもたちを助けてくれました。ザンビアの発展に大いなる貢献をしてくれた。全てにありがとう」
 主体的に生きる中で自分が得たものを、他者のために役立てようとした高良さん。その優しさと慈悲深さにふれ、神々しさに打たれました。その感動は、私の心と体に深く染みこんでいます。
(名嘉村裕子、りゅうせきビジネスサービス代表取締役社長)