コラム「南風」 後半戦からの挑戦


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 今年4月、第8回タッチラグビーW杯に日本代表として参加する機会に恵まれた。メンバーの中では経験値が圧倒的に低い私だったが、熱心に指導してくれたコーチやチームメイトのおかげで、4年に1度の大舞台に立つことができた。

 タッチラグビーは、タックルの代わりにタッチを用いる。パスとランを駆使してスピーディーかつダイナミックに動き続け、トライを狙うラグビーだ。日本ではまだメジャーとは言えないが、ラグビー強国のニュージーランドやオーストラリア、そしてヨーロッパでは人気が高い。今回のW杯では、同世代の超一流との真剣勝負を楽しみ、試合後はノーサイドの文化を堪能した。何より「本物に触れる経験」は、私の人生に大きな刺激を与えてくれた。
 タッチラグビーとの出合いは偶然で、その面白さと奥深さに引かれての日本代表への挑戦だった。W杯まで短期間。経験もなく、チームもない沖縄から私が挑むことは、周りには無謀に映ったようだ。しかし、これまでも限界をつくらず可能性に挑戦することを大切にしてきた。結果がどうあれ、一歩を踏み出すことに迷いはなかった。
 今回は幸運にも目標達成したが、これまで数えきれないくらいの失敗も経験した。人知れず悔し涙を流したことも多い。そんな時に「失敗こそ貴重な学びの機会となる」と教えてもらい、前に進めるようになった。
 人生も後半戦に入ったが、年齢に関係なく可能性への挑戦を楽しみたい。そんな生き方にこそ、人生の醍醐味(だいごみ)があると思っている。その過程では新たな自分との出会いがあり、それこそ「挑戦した者だけが得られる特権」である。
 尊敬するカズこと三浦知良も言っている。「常に何かに挑戦していれば輝きは失われない。挑戦した時がもう成功に一歩近づいたと僕はいつも思ってる」
(安村光滋、県ラグビーフットボール協会理事長)