コラム「南風」 グリーフと死生観


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 見舞いのために行った大きな病院のエレベーターに、年配の女性が同乗していた。そこへ途中から乗ってきた同年代らしき方と交わされた会話。
 「あい、みーどぅーさぬ(まぁ、久しぶりね)。だぁ、うとぅや?(どれ、あなたの夫はどうしてる?)」「さちハワイんかい(先に天国に逝ったさぁ)」「あんどぅやみ(そうなんだ)」「わんにん、へーくなーいちぶさぬ(私も早くそこへ行きたいよ)」「あんすぐとぅ!(だからよ!)」

 エレベーターを降り、同伴していた私の夫(うちなぁむーく)に沖縄独特の言い回しだと解説すると、苦笑。ニコニコと話していたあの二人、実際に行ったことがあるのかは別として、天国をハワイのようなところと認識していた。生きる労苦から解かれることを願い、先立った人とまた会えると考える人生の先輩らに、妙な安らぎを覚える。
 誰にでも訪れる死別。死生観はさまざまだが、いつか必ず降りかかるその日のために、どれだけの心の備えがあるだろうか。愛する人はいったいどこへ行ったのか。自分との関係はどうなっていくのか。培ってきた死生観が問われてくる。
 そして遺(のこ)された者の生き方も死生観に影響を受け、グリーフ(死別悲嘆)の慰めもそこからくる。
 グリーフワークおきなわは25日(日)午後1時半から、西原町のアドベンチストメディカルセンター新館で「悲しみがつむいだ豊かさへ…グリーフケアと宗教」と題し、講演会を開く。講師はキリスト教牧師と仏教僧侶。古(いにしえ)の教えから、人々がグリーフをどう捉えてきたのか、グリーフケアがどうあるべきか、さらにグリーフを経験したからこその豊かな人生を共に考えたい。資料代500円。どなたでもご参加下さい。問い合わせは(電話)080(4316)0847。
(関谷綾子、グリーフワークおきなわ)