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児童手当、控除縮小上回る 高校生がいる世帯は3万9000円増に 最大12万円 政府・自民検討案 24年12月から


児童手当、控除縮小上回る 高校生がいる世帯は3万9000円増に 最大12万円 政府・自民検討案 24年12月から イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 高校生年代(16~18歳)の子どもがいる世帯の扶養控除を、政府と自民党が検討している案の通りに縮小しても、新たに児童手当を支給するため、手取り額は年間で3万9千~12万円増えるとの政府試算が9日、明らかになった。夫婦のどちらかが働き、高校生年代の子どもが1人いる世帯を想定した。全ての所得層で、児童手当の支給額が控除縮小に伴う所得税と住民税の増加分を上回る。

 児童手当は中学生までが対象だったが、政府は子育て世帯を手厚く支援するため、所得制限を撤廃して高校生年代も対象に追加。1人につき原則月1万円の支給を2024年12月から始めると決定済みだ。初回は24年10、11月分を支給する。

 一方で、政府と自民は児童手当支給と引き換えに、所得税と住民税の税負担を軽減する扶養控除の縮小を検討。所得税の控除は年38万円から25万円に、住民税は年33万円から12万円に引き下げ、26年から実施する案が出ている。公明党とともに詳細を詰め、今月中旬に決める24年度の税制改正大綱に明記する考えだ。

 政府は、児童手当の年間支給額12万円から、控除縮小に伴う所得税と住民税の増加分を差し引いて影響額を試算した。

 それによると、年間の給与収入が240万円以下の世帯で扶養控除を受けていない場合、12万円の児童手当の分だけ手取りが増える。558万円超~752万円以下の世帯は8万6千円、752万円超~1160万円以下では7万2千円のプラスになる。手取りの増加額は年収が多いほど少なくなり、4410万円超は3万9千円となる。

 政府と自民が検討する案の通り、扶養控除の縮小が26年から始まる場合、25年は児童手当の分だけ手取り額が増えることになりそうだ。


<用語>扶養控除

 子どもや親など生計が同じ16歳以上の親族がいる場合、課税対象となる所得から一定の金額を差し引き、納税額を軽減する制度。養う家族の人数に応じて税負担を調整するために設けられている。配偶者や、年間の合計所得が48万円超の親族は対象外。民主党政権が子ども手当(現児童手当)を創設した際、16歳未満が対象の年少扶養控除は廃止された。

(共同通信)