沖縄県幹部が11月、台湾有事のリスクを独自に調べるために訪台し、台湾与野党関係者と接触していたことが22日、県への取材で分かった。国内では有事の可能性が高まっているとの指摘もあるが、与党関係者からは逆の認識が示されたといい、県幹部は「自国を防衛する意識は高いが、すぐに有事が起こるとは考えていないようだ」と分析している。
台湾有事は、中国が統一のため台湾に武力介入する事態を指す。日本政府は米中対立を背景にした有事に備え、南西地域の防衛力強化を進めているが、「軍事衝突に巻き込まれるのではないか」との懸念が根強い。
県によると、溜政仁知事公室長ら県幹部は11月22日、中国が台湾独立派と見なす与党民進党国際部の趙怡翔氏と、対中融和路線の野党国民党国際部の黄介正氏とそれぞれ会い、意見交換した。県が独自に周辺国・地域と交流を深め、平和構築を目指す「地域外交」の一環としての情報収集だという。
県側からは台湾有事の可能性を尋ね、民進党の趙氏は「中国にとって台湾侵攻は現時点でリスクが高い」と回答。国民党の黄氏は「来年1月の台湾総統選で国民党が政権を取れば東アジアは安定する」と述べるにとどめた。有事の際、沖縄の米軍基地が中国の標的になるとの見方も示したという。
溜知事公室長は取材に与野党関係者との接触を認め、「中国は台湾の独立には武力行使を辞さないとしているが、そもそも台湾では独立ではなく、現状維持を望む声がほとんどだ」と述べた。玉城デニー知事も同時期の11月23~25日に訪台したが「台湾政府関係者には接触しない」と明言、現地の財界人や県出身者らに絞って面会した。
(共同通信)