自民党の茂木敏充幹事長の資金管理団体が、使途公開基準の緩い政治団体「茂木敏充後援会総連合会」に毎年多額の資金を寄付し支出の具体的な内容が分からなくなっている問題で、2008~22年の移動額が07年の政治資金規正法改正前と比べ年平均で1・4倍超に増加していたことが20日、共同通信の調べで分かった。棚橋泰文元国家公安委員長を巡っても、後援会組織への資金移動が法改正前と比べ5倍超になっていた。
こうした資金移動は違法ではないが、移動先団体は07年法改正で導入が決まった厳格な使途公開基準の対象外のため、支出の大半で使途明細がなく、結果的に透明性が欠如していた。制度の不備が改めて問われそうだ。
08年から15年間の移動総額は、茂木氏側が4億7940万円、棚橋氏側が4億3455万円。茂木氏は党要職や閣僚を歴任し、政治資金の規模が大きくなる中で、後援会への寄付額も増加したとみられる。茂木氏、棚橋氏の事務所はそれぞれ法令に従い適正に処理しているとした。
相次ぐ政治とカネの不祥事を経て、政治資金規正法が07年に2度大きく改正。08年分から資金管理団体の収支報告義務が強化され、09年分からは使途公開基準が最も厳しい「国会議員関係政治団体」の運用が始まった。
各団体の政治資金収支報告書などによると、茂木氏の関係団体に当たる資金管理団体「茂木敏充政策研究会」や「自民党栃木県第5選挙区支部」は00~07年、茂木敏充後援会総連合会へ年603万~3857万円、平均で2242万円を寄付した。08~22年は選挙区支部からの寄付はなく、茂木敏充政策研究会からは年2750万~3760万円。平均3196万円と、法改正前から1・42倍となっていた。
後援会総連合会は関係団体に当たらない「その他の政治団体」。08~22年の支出のうち、使途明細がない割合は全体の93・9%を占めた。
棚橋氏の資金管理団体「21世紀を拓く会」や「自民党岐阜県第2選挙区支部」は00~07年、その他の政治団体である棚橋泰文後援会連合会へ年300万~1千万円、平均で550万円を寄付。08年以降は年1750万~6千万円となり、平均2897万円で法改正前から5倍超になった。
後援会連合会の支出のうち使途明細がない割合は全体の79・6%だった。
(共同通信)