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少年野球の「2部制」暑さ対策で好評 甲子園に先行、22年から実施


少年野球の「2部制」暑さ対策で好評 甲子園に先行、22年から実施 真昼の時間帯を避け、ナイターを戦う軟式少年野球の選手たち=2023年8月(全日本軟式野球連盟提供)
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 日本高野連は今夏の甲子園大会で、猛暑対策として試合開催を午前と夕方に分ける2部制を一部導入する。真昼の時間帯を避ける方式は、全日本軟式野球連盟(全軟連)が少年野球の全国大会で2022年から実施しており、現場から好評を得ている。

 対象は毎年8月に日本一を決める「全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」で、「小学生の甲子園」とも言われ、神宮球場など東京都内の複数会場で開催される。第1試合は8時半、第2試合は10時25分開始で、正午からは試合を行わない時間を設定し、午後の試合は4時や5時55分開始とした。6イニング制で、1時間半を超えると新しい回には入らない。

 「安全管理のために尽きる。ナイターには費用がかかるが、お金をかけて解決できるなら安全が最優先。命より大事なものはない」。全軟連の吉岡大輔事務局長(48)は、2部制導入の経緯を語る。前例のない大胆な改革だったが、思ったほどの反発はなく、休憩を挟むことで拘束時間が長くなることにも審判や役員から理解を得られたという。

 昨年の大会でナイターを2度経験した北名古屋ドリームス(愛知県)の岡秀信監督(54)は「以前は日中の試合で1、2人の体調不良者が出ていたが、昨年は一人も体調を崩さなかった。素晴らしいこと」と証言する。特に神宮球場でのナイターは、プロ野球選手の気分を味わえて子どもたちも喜んだそうで「甲子園大会でも(2部制を)できるならやるべき」と推奨した。

 一方で午後4時のプレーボールに合わせるため、最も気温が高い時間帯にウオーミングアップを行うケースも散見されたという。試合開始時間は主催者の責任で設定するものの、「それ以外の部分は指導者のモラルに頼らざるを得ない」(吉岡事務局長)。日本高野連と同様に、学校の夏休み期間中に集中開催しなければならず、負担軽減には難しさがつきまとう。

 日本スポーツ協会が掲げる熱中症予防の指針は、気温と湿度などから算出する「暑さ指数(WBGT)」が31度以上なら「運動は原則中止」、28度以上は「激しい運動は中止」としている。吉岡事務局長は「午前や夕方の試合中にWBGTが31度を超えたらどうするか。今後は中断することも考えないといけない」と、さらに踏み込んだ対策の必要性を語った。

(共同通信)