「妻の死から立ち直り、元気くれた」泡盛 集めた400種 西原の愛好家 沖縄


「妻の死から立ち直り、元気くれた」泡盛 集めた400種 西原の愛好家 沖縄 「泡盛が元気を出すきっかけをくれた」と話す泡盛愛好家の大城秀雄さん=3月21日、西原町小波津
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 【西原】西原町小波津に住む泡盛愛好家の大城秀雄さん(72)の自宅2階にある専用棚には、未開封の泡盛の一升瓶がずらりと並ぶ。集めた泡盛の数は、今はなくなった酒造所も含めて47酒造所、約400種類、420本余り。自身の名刺に「君知るや銘酒泡盛」の文言を入れて、泡盛の魅力を出会った人々に伝えている。

 泡盛収集は、1995年、床の間に1本の一升瓶を飾ったことをきっかけに始まった。大城さんは「見栄えがするように、さまざまなラベルの泡盛を飾り始めた」と振り返る。翌年には20本以上の一升瓶を購入。大城さん自身がお酒は外で飲み、家では飲まないこともあり、泡盛の栓は開くことなく増えるばかり。泡盛を整理しようと銘柄や酒造所、製造年などをリストアップするうちに収集癖に火が付き、20年間で200本以上を集めた。

 年末に、棚卸しのために泡盛を並べている時、ラベルに見とれて、うっかり20本ほど割ってしまったこともあった。大城さんは「妻には『私の居る場所がなくなる』と小言を言われたこともあったよ」と苦笑いをする。

 その妻が2016年に他界。しかし、年末に泡盛の棚卸しをしていて、集めるばかりだった泡盛を飲んでみようと思い立った。ネットで見つけた那覇市の「泡盛倉庫」に通い、あらためて泡盛の奥深さを知り、今日までにさらに約200本集めた。

 大城さんは気に入った泡盛はコレクションと別に自宅で採れるグミの実やスターフルーツなどの果実酒を作る際にも泡盛を使い、完成品のお裾分けをするなど、泡盛の魅力を伝えている。「泡盛は、妻の死から立ち直り、元気を出すきっかけをくれた。年齢を重ねて、友人たちも次第に酒が飲めなくなり、コレクションの断捨離も考えるようになった。集めた泡盛を手放すときには、泡盛好きの人のところにいってほしい」と話した。

 (藤村謙吾)