【北中城】北中城村は7日、第2代北中城村長の比嘉秀盛氏の遺族から、写真や冊子など343点の資料の寄贈を受けた。村教育委員会は現在、北中城村史の第五巻戦後編の編さんのための資料収集中で、昨年3月ごろに比嘉氏の自宅から資料を発見した。資料には、1951年に比嘉氏が国民指導員として渡米した写真や、平和祈念像を手がけた山田真山氏から贈られたとみられる絵画などがある。
比嘉秀盛氏は04年、北中城村島袋で生まれ、48年に第2代北中城村長選に当選し、10年間村長を務めた。そのほか、沖縄中部地区市町村長会長や沖縄食糧の取締役なども歴任し、60年5月に死去した。
村教委は現在、終戦後から日本復帰時期までをまとめる村史第五巻を編さん中で、資料収集のため村にゆかりのある人物への聞き取りや資料収集を進めている。その中で比嘉氏の遺族と連絡を取り、自宅を調査し戦後の資料を発見したという。
寄贈された写真には、56年ごろに撮影されたとみられる小那覇舞天氏と漫談をする様子や、同年に衆議院外務委員会で参考人として沖縄の現状を説明しているものなどもある。
山田真山氏の絵画は47年に描かれたもので、2人は終戦期、共に久志村(現名護市)の瀬嵩収容地区に収容されており、そこで知り合ったことがきっかけで山田氏が比嘉氏の自宅で描き贈られたとみられるという。
村役場で開かれた寄贈式に参加した、比嘉氏の孫で現在は福岡県に住む比嘉円さん(53)は「村に寄贈されることで、多くの人の目に触れてほしいと思い寄贈を決めた」と述べた。「高校まで沖縄にいて、祖母から絵などは貴重なものだと聞いていたが、信じていない部分もあった。今回の調査で自分も新しい発見があった」と笑顔を見せた。
村史の編さんなどを担当する城間義勝さんは「終戦直後の時期の資料は集まりにくい。今回寄贈されたものも当時の沖縄の歴史がよく分かる貴重なものなので、村民の方にも紹介する機会をつくりたい」と述べた。
村教委は現在も資料の収集を続けており、戦後期の北中城村関係の資料提供などを呼びかけている。資料提供の問い合わせは村教育委員会生涯学習課文化振興係、電話098(935)2250。
(福田修平)