沖縄県勢に6年ぶりの春がやってきた。候補校9校の21世紀枠は選考委でまず東日本から八戸西、西日本から東播磨の2校が選ばれ、残りの7校からの選出に移り、3校目に具志川商が決まった。県勢として2001年の宜野座高校以来、20年ぶりに21世紀枠で選抜高校野球大会の出場をつかんだ。
午後3時半、選考委の発表会見が始まると同時に視聴覚室で待つ、川根茂森校長の手元の固定電話が鳴った。吉報が舞い込むと、授業中だったが「早く知らせたい」一心で、川根校長自らが校内放送で「出場が決定しました」とアナウンス。一瞬の静寂の後、歓声や拍手が校舎に反響するようにして学校中に響いた。
昨年の九州大会で初めてエースナンバーを背負った新川俊介は「言葉にできない感情が押し寄せてきた」と目を潤ませた。憧れの甲子園で投げる姿を想像し「直球を生かした投球で、甲子園での勝利を地元にプレゼントしたい」と気勢を吐く。
地元特産品の販売、経理などをすべてを行う、模擬株式会社「具商デパート」で来年度の“社長”就任が決まっている島袋大地は「甲子園で勝ち進み、全国に具商デパートもアピールしたい」とトップセールスにも意気込む。勝ち進むことが「学校の盛り上がりにも貢献できる」とはにかんだ。
「本当にうれしい。県民の期待を力に、選抜で勝ちに行く」と語るのは粟國陸斗主将。週末に練習をサポートしてくれる保護者やOBのためにも「まだまだこれから。自分たちは常にチャレンジャー。がむしゃらに(練習に)励めば結果は付いてくる」と甲子園で具商らしいプレーを約束。学校の歴史にまた新たなページを刻む。