国、辺野古掘削調査を再開 4ヵ月ぶり、県の停止要求無視


この記事を書いた人 田盛 良一
スパット台船から掘削棒が下り、海底ボーリング調査が再開された大浦湾で、抗議する市民を拘束する海上保安官=12日午後3時すぎ(諸見里真利撮影)

 【辺野古問題取材班】沖縄防衛局は12日午後、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた海底ボーリング調査を再開した。6月末に台風の影響で中断して以降、4カ月ぶりの再開となった。埋め立て承認取り消しをめぐる国地方係争処理委員会の第1回審査を13日に控える中、翁長雄志知事は作業停止を求めていたが、キャンプ・シュワブ陸上部での工事着手に続き、掘削調査も強行した形となった。

 防衛局は12日午後2時25分、建設予定地に面した大浦湾内に11日に移動させたスパット台船1基で掘削棒を海中に下ろし、作業を開始した。別の台船1基も調査地点に移動させ、掘削に向けて準備した。掘削機を積んだ大型クレーン船も調査地点と思われる場所で停泊しており、13日以降調査に入るとみられる。
 調査は、予定されている24地点のうち、昨年8~9月に水深の浅い海域と陸上合わせて12地点、ことし3~6月に水深の深い海域7地点の計19地点で終了。台風の影響で6月30日から4カ月余り作業を中断し、台船を本島西側の羽地内海に移動させていた。
 調査再開に県の町田優知事公室長は「県は埋め立て承認を取り消している。掘削調査はその承認に基づくものだ」と指摘し、「国は代執行裁判で承認取り消しの正当性を争うとしている。陸上部分で現在行われている工事も海底の掘削調査も、少なくとも裁判が終わるまでは中断すべきだ」と話した。
 一方、菅義偉官房長官は「当然、法に基づいて進めさせていただく」と述べ、裁判中も作業を続ける考えをあらためて強調した。