知事、敗訴でも権限行使 辺野古是正指示、係争委に訴えへ


この記事を書いた人 志良堂 仁
翁長雄志知事

 翁長雄志知事は名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐる訴訟で県と国が和解したことについて県議会2月定例会本会議で報告を行い、議会はこれに対する緊急質問を実施した。翁長知事は和解が及ぶ範囲について「裁判所の判決には行政として従うと話したが、承認取り消しに伴う2件の訴訟の和解だ。今後、設計変更などいろいろあるが、法令に従い適正に判断する。今日までの(新基地建設反対の)姿勢を持ちつつ対処していきたい」と述べ、今後想定される国の是正指示に関する訴訟で県が敗訴した場合でも知事権限を行使し、新基地建設阻止に向けた姿勢を堅持する考えを示した。仲村未央氏(社民護憲)への答弁。

 翁長知事は同日、記者団に是正指示を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出る考えを示した。
 今後想定される知事権限の行使としては、埋め立て承認後に生じた事由を根拠に行う「承認撤回」や、大規模な埋め立て工事ではほぼ必須となる設計概要の変更申請を不承認とすることなどが挙げられる。変更申請を不承認とした場合について町田優知事公室長は「申請が認められない場合、申請に基づく工事はできない」との見解を示した。渡久地修氏(共産)への答弁。
 翁長知事は裁判所からの和解勧告文は、「改正地方自治法は国と地方公共団体が対等の関係だと示し、(国と県の訴訟は)同法の精神にも反する状況になっていると指摘している」と述べ、県の正当性を主張した。照屋守之氏(自民)に答えた。
 行政報告で翁長知事は「今後、政府と協議を行うことになるが、普天間飛行場の固定化は絶対に許されない。議員、県民には普天間の県外移設、5年以内の運用停止を含めた危険性除去の取り組みに理解と協力を賜りたい」と述べた。
英文へ→Governor to exercise authority even if defeated in court