米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設を巡り、大阪府警の機動隊員が「黙れ、こら、シナ人」と暴言を吐いていたことが19日分かった。読者提供の動画などで本紙記者が確認した。県警は19日午後、「差別用語としてとられかねない不適切な言葉だ」との見解を示し、謝罪した。
「シナ人」と発言したのは、「土人」と発言した機動隊員とは別だが、同じ大阪府警の機動隊に所属する20代の隊員。県警によると、18日午前9時ごろから米軍北部訓練場のN1ゲート付近で、政治団体と抗議活動参加者が口論したりもみ合うなどのトラブルがあった。その際、政治団体関係者から抗議参加者に対し「帰れ、シナ人」などと同様な罵声があったとし、「右翼関係者らの言動に影響された面は否めないが、いずれにしろ不適切な発言だ」とした。
県警の聞き取り調査などに対し、機動隊員は事実関係を認めている。抗議参加者と政治団体とのもみ合いに大阪府警の機動隊十数人が間に入った際に、一人の抗議参加者に対して発言した。隊員は聞き取りに対し「興奮して思わず言ってしまった。差別的な認識はなかった」と釈明しているという。隊員は19日から警備現場を離れたというが、処分については「大阪府警が判断する」としている。
辞書によると、「シナ」とは「外国人の中国に対する古い呼び名」としている。元々、外国人が中国を指して使う言葉として古くから使われていたが、戦後は侮蔑語として認識され、現在では使われていない。一方で、東シナ海など一部の言葉に残っている。