「もう無理です」。比嘉大吾本人の「(リングに)上がりたい」との要望を受けて戦いを決めた具志堅用高会長は、最後は自らがJBC(日本ボクシングコミッション)側に試合を止める言葉を伝えた。8回終了後の途中判定で0―2で負けている結果を聞いての決断だった。
「(前の試合から)短期間の2カ月ちょっとで試合をさせた私の責任だ。本人には本当に悪いと思っている」。対応できない比嘉の代わりに記者団に語った具志堅会長は、試合後のまな弟子の状態を問われると涙で言葉を詰まらせた。
減量に失敗したことには「最大の原因は(短い)期間だ」と繰り返した。しかし公開スパーリングの時から“予兆”はあった。「動きはいいが、ウエートがある」。不安要素が口をついた。それでも、比嘉とトレーナーを「信用している」と自らに言い聞かせるように繰り返し、計量日までには減量できると信じた。自身の経験にも照らして大丈夫と踏んだが「今の若い子には2カ月(での減量)は無理だった」と悔やんだ。
今後、階級の変更などについては「全く(どうするか)考えていない。ゆっくり休ませたい。JBCの処分も受けないといけない」と言葉少なに返した。
比嘉にどのように声を掛けたかと記者に問われると、一瞬声を詰まらせ、涙声になりながら「よくやったと―」と絞り出すのが精いっぱいだった。(滝本匠)