沖縄本島地方に接近した熱帯低気圧は26日朝、県内各地で非常に激しい雨をもたらした。本島中南部を中心に各地で河川の氾濫や土砂崩れ、冠水が多発。4市で避難勧告が発表され、住民が避難した。通勤、通学ラッシュにもかち合い県民生活を直撃した。熱低は台風に発達し、27日にかけて令和初の接近となる見込み。暴風域は伴わないとみられるが、避難勧告や避難準備情報は継続しており県民は不安な一夜を過ごした。
「道が海みたいで怖かった」。早朝からの大雨で道路は冠水し、川は見る見るうちに増水した。西原町の小波津川は午前7時50分から約40分間、水があふれた。近くの高齢女性は氾濫寸前に町役場に避難した。
「車のタイヤも水に漬かって『どうしよう、どうしよう』と思いながら逃げてきた。以前、台風で自宅が床上浸水した。雨だけは心配」。川の濁流を映すテレビモニターを、不安そうに見つめていた。
市内全域に避難勧告が出された浦添市。市役所地下に開設された避難所には、多い時で5世帯15人が身を寄せた。川が近くを流れる市内の保育園は2歳児1人を伴って避難。園長(40)は「何かあってからでは遅い。早め早めに対応した」と話し、保護者の迎えを待った。
午後は雨も小康状態となった。それでも新たな熱帯低気圧の接近を危惧し、避難所に駆け込む人がいた。豊見城市の真嘉部コミュニティセンターに避難した70代男性は「朝の雨の降り方は尋常じゃなかった。ラジオで今日の夜も同じくらい降ると言っていたから、晴れている間に避難した。夜も心配だ」と語った。
学校も大雨で対応に追われ、一部は下校時間を早めた。那覇市立真嘉比小学校は午後1時半すぎに全校児童を帰宅させた。娘を迎えに来た小波蔵みどりさん(45)は「通勤、通学時に大雨で大変だった。学校から(帰宅させるとの)連絡が来て驚いたが、安全を考えると良かったと思う」と話した。
糸満市の女性(43)も学校からメールがあり、小学生と中学生の子2人を迎えに行った。「朝の大雨がすごかったので登校時も学校まで送ったが、学校周辺は渋滞して大変だった」と、慌ただしい一日を振り返った。