「ウマハラセー」復活へ 70年前途絶えた沖縄伝統競馬


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ウマハラセー独特の「側対歩」の練習に励む沖縄こどもの国のヨナグニウマ、サイシュウウマ=1日、沖縄市の沖縄こどもの国

 【沖縄】沖縄こどもの国は、戦争の影響で約70年前に途絶えた沖縄の伝統競馬「ウマハラセー」を復活させる。現在、飼育員が昨年10月から園のヨナグニウマやサイシュウウマに、ウマハラセー独特の走行法を訓練しており、3月2日、10日に同園でウマハラセーを開催する。

同園の比嘉源和園長は「ウマハラセーは人間と家畜の共存を示し、生活から派生した貴重な伝統文化だ。観光資源としても価値がある」と話し、復活と定着に意欲を燃やしている。
 ウマハラセーは琉球王朝時代に士族が始めたとされるが、廃藩置県後に「屋取(ヤードゥイ)」で地方に進出した士族を通して全県に広がり、農民などの庶民にも広がったとみられている。在来種の小型馬で行われていたが、第1次世界大戦以降、軍馬の需要が増し、在来馬の去勢法が施行。大型改良馬の造成が進むとともに在来種が駆逐され、ウマハラセーも途絶えた。
 旧暦3月3日の「浜下り」、4月15日の「アブシバレー(虫払い)」、8月15日の「十五夜」などの祭事に伴い開催されたウマハラセー。当時、競争馬を所有し、勝利することは門中にとって繁栄の象徴だったという。
 沖縄市知花で開催されたウマハラセーでは、乗り手も国の伝統工芸品に指定されている知花花織を「晴れ着」として着用した。3月の大会では、乗り手がこの日のために織られた知花花織の衣装を着用する。
 ウマハラセーの一番の特徴は馬の走行法。速さを競わず、1対1の並走で走りの美しさ、足並みを競う。右前脚と右後脚、左前脚と左前脚を同時に動かし、小走りをするような「側対歩」で競争した。
 比嘉園長は「『側対歩』だと、馬の背中の揺れが抑えられる。石畳の上でも、馬に乗せた荷物が荷崩れしないように、馬にとっても山や谷を歩く負担を減らすための知恵として定着したのではないか」と指摘した。

英文へ→Okinawan traditional horse racing to be revived