沖縄の現実刻む写真群 本紙・山城カメラマン企画展


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 琉球新報写真映像部カメラマンの山城博明さん(64)が1970年から2012年までに撮影した写真227点を紹介する琉球新報創刊120年企画展「報道カメラマンが見た激動のOKINAWA42年」(主催・琉球新報社、日本新聞博物館)が22日から、神奈川県横浜市の日本新聞博物館で開かれている。

 山城さんが「(自身の)あらゆる写真の原点」と位置付ける写真は、1970年に起きたコザ騒動の翌朝の様子を撮影した1枚だ。焼け焦げひっくり返る米軍車両と、その横を自転車で横切る少年の姿が写っている。「沖縄の民衆の怒りが渦巻く騒然とした状況で、当たり前のように暮らすコザの子どもの姿が印象的だった。米軍に対する人々の怒りが日常の中に存在していると感じ、シャッターを切った」と振り返る。
 復帰後も米軍基地が残り、事件・事故が多発する沖縄の姿をカメラで追い続けた。沖縄国際大米軍ヘリ墜落事故、MV22オスプレイの強行配備など、基地問題を写真で伝えている。「沖縄の現状を写真から感じ取ってほしい」と語る。
 2007年からは「集団自決」(強制集団死)に巻き込まれた人々の体に残る傷痕の撮影を始めた。
 8月18日まで。一般・大学生500円、高校生300円、中学生以下無料。問い合わせは同博物館(電話)045(661)2040。
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コザ騒動で焼かれひっくり返った車と横切る子ども=1970年12月20日、コザ市(現沖縄市)
「集団自決」(強制集団死)の時、なたで首を切られた傷痕=2011年6月14日、渡嘉敷村
ハジチを施した老婦人=1970年、旧玉城村(現南城市)