身近な事件解決に意欲 那覇家裁所長に就任した鶴岡稔彦さん


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 「県民の皆さんにとって身近な事件を親しみやすい手続きで解決することが家裁の役割だと思う」。少し日焼けした顔で抱負を語る。1日付で那覇家裁の所長に就任した。
 沖縄勤務は、1990年から92年まで那覇地裁・家裁石垣支部と平良支部の支部長を務めて以来2度目となる。「自然がきれいで地元の人の人情も温かくて、とても楽しい1年半だった。今では甲子園でも沖縄県勢を応援している」と笑顔を見せる。

 東京地裁にいた2005年、非婚の日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれた子どもが、日本国籍を認めなかった国に対して国籍の確認を求めた訴訟の裁判長を務めた。日本人の父親と外国人の母親の婚外子で、父親から生後認知された子どもに国籍を認めないとする国籍法3条1項について、結婚している夫婦の子と婚外子の間に不合理な区別をしていると指摘した。「法の下の平等を定めた憲法14条1項に反する」と、国籍法の憲法違反を初めて認める判決を下した。注目を集めた判決にも「法律に従って判断することが仕事。それほど重圧も感じなかった」と、原則に忠実に取り組んだ。
 「小説から自然科学まで、手当たり次第に読む」という読書好き。東京の自宅は本が山積みだったという。沖縄転勤に当たり、断腸の思いでほとんどの本を置いて来た。デジタル一眼レフカメラで、花などの写真を撮ってパソコンの壁紙を自作している。「沖縄は植物も独特なので町歩きをして写真を撮りたい」と期待を膨らませる。千葉県出身。57歳。