「辺野古移設見直し可能」 ハルペリン氏講演


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シンポジウム「基地の島、沖縄の今を考える」で意見を述べるハルペリン氏=18日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 1960年代後半、沖縄返還に関する米政府の交渉担当者を務めたモートン・ハルペリン氏(76)=元米国家安全保障会議スタッフ=を招いたシンポジウム「基地の島・沖縄の今を考える」(主催・琉球新報社、新外交イニシアティブ)が18日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。

約650人が来場した。ハルペリン氏は沖縄の過重な基地負担に関し「海兵隊の必要性を問い直すことで県民の望む形での解決策が見つかるはずだ」と指摘し、普天間飛行場を名護市辺野古に移設するとした計画の見直しは可能との見方を示した。
 ハルペリン氏は辺野古の新たな基地建設について「政治的に困難だということを日本政府は米側にしっかりと説明すべきだ」と主張した。
 基地問題の解決策として(1)沖縄が抱える政治問題を日米両政府がきちんと考慮し、協議すること(2)海兵隊の「抑止力」の意味を問い直すこと―などを挙げ、「民主主義国の日米両国が真摯(しんし)に取り組めば両国の国内政治や必要とする安全保障に沿った形で問題は解決できる」と指摘した。
 パネル討論では大田昌秀元知事と佐藤学沖縄国際大教授が加わり、大田氏は「新基地建設費などの財政負担が日本に降り掛かる。県内の世論調査では8割が建設に反対しており、絶対に容認できない」と強調。佐藤氏は「世界中で戦争をする余裕がなくなった米国と、辺野古の基地が中国と戦争するための担保と考える日本側の乖離(かいり)がある」と説明した。
 ハルペリン氏は同日、シンポに先立ち、辺野古沿岸部を船上から視察したほか、シンポ前に記者会見に応じた。ハルペリン氏は19日に沖縄を離れる予定。