70代5人、泊高夜間部を卒業 「仲間がいたから」


70代5人、泊高夜間部を卒業 「仲間がいたから」 泊高校夜間部を卒業した(右から)上原キヨさん、嘉数惠美さん、照屋トモさん、仲宗根節さん、宮城ミツ子さん=28日、那覇市の泊高校体育館
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 晴れ渡った秋空が広がった28日、両手いっぱいの花束と卒業証書を抱えた70代の女性5人が、泊高校定時制夜間部を卒業した。「仲間がいたからここまでこられた」「青春を取り戻した」。

 戦中戦後の混乱で、これまで満足に学校に通えなかった彼女たち。卒業証書を手に「ズシリと重い」と誇らしげな表情で巣立っていった。

 上原キヨさん(78)、嘉数惠美さん(78)、照屋トモさん(76)、仲宗根節さん(70)、宮城ミツ子さん(76)の5人は、夜間中学を含め6~7年間、励まし合いながら学び続け、この日を迎えた。黄色の着物に身を包み式に臨んだ上原さんは、沖縄戦で戦争孤児となり働きづめの人生だった。「学校とは無縁だと思っていた自分がここまでこられるとは思わなかった」とハンカチで目頭を押さえ、喜びを語った。

 手すりをつかみ、ゆっくりと壇上から降りた宮城さんは「卒業証書は本当に重かった。仲間が一緒だったから頑張れた」と振り返る。

 卒業生代表で答辞を述べた嘉数さんは「社会の波に翻弄(ほんろう)され、置き忘れてきた青春を取り戻した。遠回りしたが、泊高校で学べたことを誇りに思う」と述べ、大きな拍手を浴びた。

 「高校に通うという目標ができてからは腰痛も感じなくなった。目標は人に力を与えるんだね」とはにかみながら語った照屋さん。英検や漢検に挑戦するという卒業後の目標も決めている。

 学習成績優秀賞を受賞した仲宗根さん。今後は文章力を生かし、福祉関係の情報発信活動に関わりたいと考えている。若い世代との交流にも意欲的で「連絡ちょうだいねー」と、孫のように年の離れた同窓生に手書きの名刺を渡し、交流継続を約束した。

 5人は、卒業後も月1回程度会う計画で、これからも青春は続いていく。