琉球新報社は29日、11月16日投開票(10月30日告示)の県知事選へ立候補を表明している現職の仲井真弘多氏(75)、前那覇市長の翁長雄志氏(64)、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、元参院議員の喜納昌吉氏(66)を本社に招き、座談会を開いた。最大の争点となる米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で、仲井真氏が危険性の早期除去の観点から移設計画を評価したのに対し、翁長氏は「県民の受忍限度を超えている」と反対し、県外、国外移設を主張した。下地氏は県民投票による解決を提案、喜納氏は埋め立て承認の取り消しで移設に反対する手法を示し、4氏が公約の違いを鮮明にした。
辺野古移設問題について仲井真氏は「政府の辺野古移設と普天間の5年内運用停止が最も現実的で具体的だ。辺野古周辺の人々にはご苦労をかけるが、安全確保と地域振興に全力で取り組む」と述べた。
翁長氏は「日本本土全体で(米軍基地を)負担する方が日本の安全保障の覚悟も感じられ、抑止力も数段勝る」と指摘。景観破壊による経済損失は振興策の利益よりも大きいと強調した。
下地氏は移設問題で、政治家が容認から反対、反対から容認に転じる事例が相次いでいると指摘し「政治が混乱している。県民の明確な旗が必要だ」と、県民投票の意義を説明した。
喜納氏は「(辺野古沖の)埋め立て承認は公有水面埋立法の環境保全の配慮に反しており、明らかな瑕疵(かし)がある。取り消しは知事が決定し、文書で通知するだけだ」と述べた。
産業振興をめぐり、仲井真氏が新たなリーディング産業創出やユニバーサルスタジオの誘致など、翁長氏がアジア経済戦略構想の策定やクルーズ船の母港化など、下地氏が「外向き経済」構築などによる県内総生産6兆円達成や米軍嘉手納基地の軍民共用化など、喜納氏が一国二制度による成長戦略やカジノ誘致などを掲げた。