国、知事の停止指示に従わず 不服・無効を申し立て


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 防衛省は24日、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画で、翁長雄志知事が工事に関連する作業の停止指示を出したことについて「違法で無効だ。現在行っている作業を中止する理由はない」として、林芳正農相に対して行政不服審査法などに基づく「不服審査請求書」を提出した。

これに対し翁長知事は同日、「停止指示を真摯(しんし)に捉え、適切に対応してもらいたい」と反論。同日も辺野古でのボーリング調査が続行されたことについて「作業継続という結果は大変遺憾に思う」と批判した。移設問題をめぐる県と国の対立が一層先鋭化している。
 防衛省は農林水産省に審査が完了するまで、知事による作業停止指示の効力停止を求める「執行停止申立書」も提出。農水省は24日、県に27日までに国側の申し立てへの意見書を提出するよう求めた。
 行政不服審査法は、執行停止申し立てがあった際、審査を担当する省庁は速やかに判断することとしている。「執行停止申立書」についての農相の判断は、知事が作業停止の期限とする30日までに下される公算が高く、知事による作業停止指示の効力が一時失われる可能性が出ている。
 「不服審査請求書」を受けた裁決について農水省は時期を明らかにしていないが、審査には少なくとも1カ月以上かかる見通し。
 県の作業停止指示について、菅義偉官房長官は24日の会見で「指示は違法性が重大でかつ明白だ。無効なものである」と批判した。
 沖縄防衛局は24日、県に対して、作業停止指示への見解を文書で提出した。文書はコンクリートブロックの設置をめぐり、県との協議で岩礁破砕手続きの対象とならないとされたことなどを指摘。県がブロックの設置について「許可にかかる申請外の行為」としたことを挙げ「禁反言(約束に反した主張を禁止すること)の原則に反する」と主張している。
 また、ブロックの設置が岩礁破砕に当たるとして、全ての作業を停止することについて「著しい職権乱用だ」と批判している。
 知事の停止指示は県漁業調整規則に基づくため、防衛局は所管する農相に不服を申し立てた。