知事「沖縄を領土としてしか見てない」 防衛相と会談


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
辺野古新基地建設をめぐり会談する翁長雄志知事(右)と中谷元・防衛相=16日午後3時ごろ、県庁

 中谷元・防衛相は16日、翁長雄志知事と稲嶺進名護市長と相次いで会談し、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に理解を求めた。県庁での会談で「抑止力」維持のために辺野古移設を進めるとする中谷氏に対し、翁長知事は「あなた方は沖縄を領土としてしか見ていないのではないか。140万県民が生活している」と強く批判した。

 一方、名護市内のホテルで開いた稲嶺市長との初会談で、市が過去に移設を受け入れた経緯に基づき作業を進めているとする中谷氏に対し、稲嶺市長は「受け入れは15年の使用期限や軍民共用などの条件が付されていた。だがその後政府は閣議決定でこの条件を取り消した」と述べ、受け入れの前提条件は崩れたことを強調した。
 会談で知事は中国の弾道ミサイルの射程距離に入った沖縄に米軍基地が集中する状況は、標的となった際に「脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘する米政府元高官や専門家の指摘を挙げ、普天間の県外・国外移設を求めた。これに対し中谷氏は「力の空白をつくらない」として県内移設を維持し、ミサイルに対してはミサイル防衛体制を強化すると説明した。知事は会談後、記者団に「県民への思いや歴史に対する認識ではなく、日本の防衛に沖縄が必要だという説明に感じた」と批判した。
 2012年12月の第2次安倍政権発足以降、稲嶺市長が同問題で閣僚と単独で会談するのは初めて。会談後、記者団に「私としては非常に距離感は縮まったと思う」と述べた中谷氏に対し、稲嶺市長は「私の感覚では縮まっていない」とし、議論は平行線に終わった。
 一方、翁長知事も会談で「官房長官とも抑止力や基地負担軽減などの話をしたが、議論が深まることはない。入り口で『辺野古が唯一』として日米合意をそのまま進める以外の話がないと」と中谷氏に述べ、移設計画の見直しを求めた。
 中谷氏は翁長知事との会談冒頭で米軍ヘリうるま沖墜落事故に言及し「非常に遺憾だ。昨日、在沖米四軍調整官に原因究明と再発防止の徹底を申し入れた」と説明した。翁長知事は「事故のたびに市町村長や県で原因究明などを求め抗議や要請をするが、ほとんどが『米軍の運用』というしゃくし定規な返事しかない。徒労感を感じている」と応じた。
 中谷氏は稲嶺市長との会談に先立ち、普天間飛行場の移設先である辺野古と隣接する豊原の両区長らと懇談した。北部町村長と懇談した前日に続き、中部の基地所在市町村長とも懇談した。
英文へ→Gov. Onaga criticizes Japanese officials for viewing Okinawa only in strategic terms