県、防衛局聴聞へ 辺野古取り消し、来月中旬以降


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沖縄防衛局に対する聴聞を実施すると発表する翁長雄志知事=28日午後4時15分すぎ、県庁

 翁長雄志知事は28日、県庁で記者会見し、名護市辺野古の新基地建設の埋め立て承認を取り消す手続きとして、沖縄防衛局に対して行政手続法に基づく「聴聞」を行うと発表した。

聴聞は内容の精査を含めて3~4週間かかる見通しで、29日にも行うとみられた承認取り消しは10月中旬以降となる。
 県は取り消し前に、同法に基づかない自主的措置として防衛局の言い分を聞く「意見聴取」を行うと同局に通知していた。だが防衛局は28日の期日に意見聴取に応じなかった。県側としては政府側が求めていた聴聞を経ることで、将来的な法廷闘争に備えて手続き上の「落ち度」を指摘されないようにする狙いがある。
 県は28日、防衛局に聴聞実施の通知文を届けた。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「法律に基づいた手続きならば当然応じる」と表明した。聴聞は10月7日午前10時に県庁で行う。
 県が埋め立て承認を取り消した場合、防衛局は私人(事業者)の救済を目的に定めた「行政不服審査」を申し立てる対抗措置を検討している。同制度の場合、防衛局と同じ政府機関の国交相が裁決するため、政府側に有利になる可能性が高い。県は防衛局が「国として基地建設をしており」同制度を利用できないと主張してきた。
 行政手続法は行政機関による不利益処分に伴う手続きを定めているが、処分相手が国の場合、法を適用しないと定めている。そのため行政手続法に基づく聴聞を行うか、または同法とは関係ない意見聴取をするかは、今後の法律上の争いで防衛局の位置付けが「国」か「私人」かを判断する材料になる可能性があり、県は意見聴取、国は聴聞の実施を主張してきた。
 聴聞実施を決めた理由について翁長知事は「手続き面での見解の相違で国が意見を述べないまま手続きが進む状況は、県としても本意でない」と説明し、防衛局の主張に「配慮して」行うと述べた。