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”私有地ない”久高島の指定見直さず 土地規制法の対象で内閣府 「不正な土地利用あり得ない」の地元主張をかわす


この記事を書いた人 琉球新報社
土地規制法について内閣府、防衛省との政府交渉に臨む市民団体(左側)=1日、衆院第2議員会館

 【東京】防衛施設や国境離島など政府が安全保障上重要とする土地の利用状況を調査、規制する土地利用規制法の区域指定を巡り、内閣府は1日、土地の私有が認められていない久高島(南城市)の指定見直しを検討する考えがないことを明らかにした。衆院第2議員会館で行われた市民団体との政府交渉で内閣府担当者が説明した。

 指定区域を決める審議会で「神の島」とされる同島における所有権に関する特殊事情が考慮されたかについては明確な答弁を避けた。

 久高島は7月12日に官報で「特別注視区域」「注視区域」として告示された10都県計161カ所の中で「注視区域」の一つとして含まれた。

 区域指定は、対象区域を審議する「土地等利用状況審議会」で決まったが、琉球王国時代の「地割制」の名残で、私有地ではなく区が所有する特殊な形態になっている点が指摘されていた。

 古謝景春南城市長は6月の市議会で「不正な土地利用、機能阻害行為が行われることはあり得ない」などと答弁。政府交渉に出席した瑞慶覧長風市議はこうした点や久高島が地元での信仰の対象になっている事情を踏まえ「例外事項にあたる」として指定の見直しを求めた。

 内閣府担当者は、久高島の事情を考慮した上での指定だったとし「検討しない」とした。久高島の特殊事情の把握時期についても市民団体側から質問があったが、同担当者は「情報を持ち合わせていない」と述べるにとどめた。

 また、指定区域の地図を含む内閣府からの通知文書の開示を巡り、自治体ごとに対応の違いがある点も質問があった。内閣府担当者は、自治体側に「指導する立場にない」とした一方で、情報開示で「今後の土地等利用状況調査ひいては機能阻害行為の防止という本法の目的の達成に支障が出る恐れがある」として「理解を求めている」とも明かした。
 (安里洋輔)