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「沖縄研究の恩人だ」 宜保榮治郎さん死去、関係者ら人柄しのぶ


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宜保榮治郎さん=2020年撮影

 沖縄芸能研究家の宜保榮治郎さんの訃報に、関係者からは文化芸能分野での功績をたたえ、人柄をしのぶ声が聞かれた。

 1972年に組踊が国の重要無形文化財に指定された時、宜保さんは沖縄側の行政担当者として関わった。当時、東京国立文化財研究所の研究員として関わった三隅治雄さん(96)は「組踊の大事さが十分に浸透していない時代だったが、宜保さんらは組踊が豊かな芸能であるということを調べ、(文化財指定の)支援に努めた。われわれ(在京の研究者)にとって沖縄研究の恩人だ」と強調した。

 伝統組踊保存会相談役の宮城能鳳さん(85)は、宜保さんと共に国立劇場おきなわの組踊伝承者養成研修事業に携わってきた。「劇場ができても演者がいなければだめだと、若手を早く育てたいと常におっしゃっていた。後継者が育っているのは先生のおかげだ」と功績をたたえた。

 琉球舞踊保存会会長の玉城秀子さん(81)は「若い頃は何でも相談して、叱咤(しった)激励してもらった」と語る。「大学講師の依頼を受けたときは、やるべきだと背中を押してくれた」と振り返った。

 宜保さんが会長を務めたアジア・太平洋文化交流ネットワークin沖縄の比嘉悦子副会長(75)は「沖縄の芸能を他分野に目配せしつつ、多角的に研究した」と、功績を振り返る。「情が深く、多くの人に慕われていた。最近まで屋部方言の辞書を作りたいとおっしゃっていて、まだまだ意欲十分だったはず」と話した。

(伊佐尚記、田吹遥子)