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「やめて、来ないで、ストップして」石垣港に米軍艦 市民ら抗議「軍港」にさせない


「やめて、来ないで、ストップして」石垣港に米軍艦 市民ら抗議「軍港」にさせない
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【石垣】14年ぶりの「異様」な光景に市民は悲しみ、怒り、力の限り声を上げた。「やめてほしい、来ないでほしい、ストップしてほしい」。切実な訴えをよそに、石垣市南ぬ浜町の石垣港クルーズ船バースに7日、米海軍掃海艦パイオニアが入港した。普段は国内外の旅客船が使用する港。市民は島や港の軍事化を恐れ「歌と踊り、人情の島を軍事の島にするな」と抗議の拳を天に突き上げた。小雨が静かに地面に染み「市民の涙だ」との声が漏れた。

 午前8時ごろ、全長68.28メートル、グレーの掃海艦が沖合から徐々に港に近づいてきた。午前9時ごろ、岸壁に接岸。石垣市への入港は2009年以来、2度目だ。クルーズ船バースの使用は今回が初だった。

 市内の農家、嶺井善(まさる)さん(57)は作業ズボンの裾を白い長靴に入れた、いつもの格好で現場に足を運んだ。畑に行く前に島の現実を「自分の目で見る」ために。

 嶺井さんはかつて、石垣市平得大俣への陸上自衛隊石垣駐屯地配備に反対する市民団体の共同代表に名を連ねていた。だが3月の駐屯地開設後、共同代表から退いた。それでも平和な島を求める思いは変わらない。今回の入港に対し、自衛隊配備に無関心だった人も「違和感を抱いている」と聞いた。島で進む軍事的な動きに気が気でない。「島の将来が心配だ」

 医療従事者の通崎彩子さんは、掃海艦は「入ってこないで」との思いで現場に駆け付けた。日米の思うように島の軍事化が進んでいると指摘し「抑止力ではなく、(他国との)市民同士の交流が必要だ」と、近隣諸国との友好を望んだ。

 この日、抗議に集まった市民は約50人。午前8時半ごろから午後2時ごろまで、マイクを握り、のぼりを持ち、プラカードを掲げ、入港反対の意思を示し続けた。最後に「港を軍港にしないぞ」とシュプレヒコールを上げ、平和な島に向けて声を上げ続けることを確認し合った。 (照屋大哲)