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沖縄民謡、往年のスターが集結 「黄金時代」針を落とし聞き惚れた唄声を振り返る 沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと


沖縄民謡、往年のスターが集結 「黄金時代」針を落とし聞き惚れた唄声を振り返る 沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと フィナーレにカチャーシーで締めくくる出演者ら=3日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場(撮影・桑村ヒロシ 提供・那覇市)
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 沖縄民謡を代表する唄者が、語って歌うコンサート「ドーナツ盤からの唄声 沖縄民謡最盛期の情熱」(那覇市主催)が3日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開催された。ドーナツ盤(EP盤)時代にヒット曲を生んだ往年のスターたちが勢ぞろいし、15組の唄者が出演。ナビゲーターに知名定男を迎えて、当時のレコードを流し語り合い、味わい深い唄を披露した。進行は島唄解説人の小浜司。

 沖縄民謡の黄金時代とも言われる1960年代から70年代。当時の話を直接聞ける機会が減ってきている中、沖縄民謡の最盛期を垣間見ようと企画された。幕開けは知名のデビュー曲「スーキカンナー」のレコードが流された。当時、12歳のころに収録した。小浜は「この頃からドーナツ盤へと移行していく」と話し、知名は「ドーナツ盤の時代になって『民謡ルネサンス』とよく言っているが、黄金時代に突入する。当時はジュークボックスの全盛期。沖縄の民謡は米兵がコインを入れて聞くぐらいだった」と当時を振り返った。

レコードを流し、当時を振り返る(左から)小浜司、饒辺愛子、知名定男=3日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場(撮影・桑村ヒロシ 提供・那覇市)

 1部に出演した上原正吉は5日に急逝し生前最後の舞台となった。代表曲の一つ「思(うむ)やー小」を澄んだ声で歌った。同曲は68年にリリースされ、復帰後もロングヒット。上原の歌声を側で聞いた知名は「『民謡ルネサンス』の頃に立ち戻ってきた気になる」と感慨深げ。「やっぱり一昔前の唄、良いですよね」と絶賛し、「島唄を理解して、ウチナーンチュのアイデンティティーを忘れずに歌ってほしい」と若手らに向けて呼びかける場面もあった。

 1部には饒辺愛子が「なんた浜」、宮良康生が「トゥバラーマ」、2部にでいご娘が「艦砲ぬ喰ぇー残さー」、前川守賢が「かなさんどー」と名曲が次々と披露された。そのほか出演は大城志津子、国吉義子・松原忠之、金城恵子、大工哲弘、喜納昌吉、田場盛信、我如古より子、照屋正雄、神谷幸一、玉城一美。出演者全員でカチャーシーを踊り、盛況に終演した。

 1月21日に、「なは教育の日」関連事業の一環関連のイベントとして「SP盤からの唄声~沖縄民謡黎明(れいめい)期の情熱~」が小劇場で開催され、SP盤を蓄音機で流し解説付きで鑑賞する機会もあった。

(田中芳)