【速報】日本芸術院会員に宮城能鳳氏 「組踊立方」人間国宝 沖縄県出身者で初


【速報】日本芸術院会員に宮城能鳳氏 「組踊立方」人間国宝 沖縄県出身者で初 日本芸術院の新会員に選ばれた人間国宝の宮城能鳳さん。写真は2018年に披露した古典女踊「諸屯」=那覇市の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 日本芸術院(野村萬院長)は22日、芸術活動で顕著な功績があったとして新会員に選出した12人を発表した。県内からは「組踊立方」人間国宝の宮城能鳳さん(85)=与那原町=が選ばれた。県出身者で日本芸術院会員に選ばれるのは初めて。3月1日に盛山正仁文部科学相が発令する。


 同院は8日に会員候補者を決定し、文科相に上申した。能鳳さんは舞踊分野で選ばれた。能鳳さんを推薦した理由について同院は「古典はもとより、廃絶曲の復曲、新作の創作に積極的に取り組んでいる」「後進の指導に当たり、あまたの専門家を育成している」ことなどを挙げ、能鳳さんの長年にわたる芸能活動全般を評価した。

日本芸術院会員に選ばれた宮城能鳳氏=20日、与那原町(ジャン松元撮影)

 能鳳さんは「こんなに大きな役目が私に務まるかという思いだが、推挙されたことは大変光栄だ。日本の伝統芸能の中で組踊が能や文楽と同じ地位に認められたという大きな意味を持つ。先達の感謝の気持ちでいっぱいだ」と語った。

 能鳳さんは1938年生まれ、旧佐敷村(現南城市)出身。本名は德村正吉(とくむら・まさきち)。初代宮城能造に師事。90年から県立芸術大教授を務め、2006年に名誉教授。2005年から現在も国立劇場おきなわの組踊研修の立方主任講師。06年に重要無形文化財「組踊立方」保持者(各個認定)=人間国宝=に認定。09年に重要無形文化財「琉球舞踊」保持者(総合認定)に認定された。19年の日本芸術院賞、国の文化功労者はいずれも県出身者で初めて選出された。15年から琉球舞踊保存会会長を務め、2023年から相談役。08年に旭日小綬章、13年に琉球新報賞。宮城本流鳳乃会(おおとりのかい)家元。

 新会員にはこのほか、マンガ家の萩尾望都さん、作家の筒井康隆さんなどが選ばれた。

 日本芸術院は美術、文芸、音楽、演劇、舞踊など芸術の各分野の優れた芸術家をたたえる国の機関。院長1人と終身の会員120人以内で構成する。2月9日現在、現員97人。会員は功績の顕著な芸術家を対象に、同院によって選ばれ、文部科学大臣によって任命される。1919年に帝国美術院として発足。47年に日本芸術院に名称変更した。芸術に関する重要事項を審議し、文部科学大臣や文化庁長官に意見を述べることができるほか、芸術の進歩に後見した業績が認められる者に恩賜賞と日本芸術院賞を授与している。