英国・ウェールズの首都カーディフを本拠地とするオーケストラ「BBCウェールズ国立管弦楽団」は現地時間2月24日、宮古島生まれの金井(旧姓川平)喜久子のオーケストラ作品から、カプリッチョ沖縄(琉球舞踊組曲第2番より)を演奏した。カーディフにあるホディノット・ホールで公開で収録した。英国ロンドン生まれで琉球古典音楽師範、作曲家の上地呂敏(ろびん)が三線奏者として招かれ、オーケストラと協演した。
「琉球舞踊組曲第2番」は全3楽章。上地によると、楽譜には65小節以降、演奏者がアドリブで演奏するよう指示されているという。総譜を基に、オーケストラと合わせるために伝統的三線音楽にない洋楽的奏法などを取り入れ、三線のパートを曲の最後まで完成させた。
上地は「(金井の)オーケストレーションや、作品での金管や木管楽器の使い方のうまさにとても驚いた。オーケストラの奏者たちも感動していた」と手応えを話した。
BBCウェールズ国立管弦楽団は、昨年にも金井の「梯梧の花咲く琉球」を演奏。上地を関係者に紹介した金井喜久子プロジェクト実行委員会の比嘉悦子(民族音楽研究家)は「金井の作品がイギリスをはじめ、世界中で研究されており注目されている」と喜んだ。
公開収録は「フォークフュージョン 日本と東ヨーロッパの出会い」と題した企画で、会場は一般の来場者で満席だった。このほか、武満徹の「3つの映画音楽」や、リストの「ピアノとオーケストラのための協奏曲第2番イ長調S.125」、ドボルザークの「森の鳩op.110」も演奏した。
収録はBBCで現地時間4月3日夜7時半に放送される。放送はアプリ「BBC Sounds」で放送から30日間、聴くことができる。
(田中芳)