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地域固有の植物利用 盛口満「琉球植物民俗事典」<沖縄本>


地域固有の植物利用 盛口満「琉球植物民俗事典」<沖縄本>
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉手苅 友也

 「琉球植物民俗事典 聞き書き 琉球列島の植物利用」が、八坂書房から出版された。著者は沖縄大の盛口満教授。

 1960年代以降、急速に失われていった種子島・屋久島から石垣島・西表島・与那国島に至る島々にある固有の植物利用の具体例を、地域の高齢者たちから聞き取り、植物ごとにまとめて収載した。聞き取りした話者の出身地と生年が記され、当時の人々の生活がうかがえる。

 例えば、アダンの実の好みが地域によって大きく異なり、ハマイヌビワという樹木はヤギの餌として評価が分かれる。同じ植物、種でも、地域や話者が異なれば植物利用も異なることが手に取るように分かる。

 著者のイラスト付きで約400種が収載されている。雨乞い、お盆のお供えなど、よく話題に挙がる植物利用なども見出し語に並べ、五十音順で掲載されているため探しやすい。

 編集部の三宅郁子さんは「盛口氏が20年かけて聞き取り、植物ごとにまとめた労作」とPRした。税込み4400円、県内の書店やオンラインストアで購入できる。

(嘉手苅友也)