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対馬丸とボーフィン号の対話で描く沖縄戦 事件から80年で絵本 著者の池澤さんと黒田さん、9月に那覇でトークイベント


対馬丸とボーフィン号の対話で描く沖縄戦 事件から80年で絵本 著者の池澤さんと黒田さん、9月に那覇でトークイベント 「対馬丸とボーフィン」
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 作家の池澤夏樹さんと黒田征太郎さんがこのほど、22日で発生から80年を迎える対馬丸事件をテーマとした絵本「対馬丸とボーフィン」(1980円)をスイッチ・パブリッシングより刊行した。沖縄から九州に向かって航行していた疎開船「対馬丸」と、同船を魚雷攻撃し撃沈させた米潜水艦「ボーフィン」の対話から、事件当時の状況とその凄惨さを伝えるとともに、敵や味方は関係なく、どちらにも大きな傷を残す戦争のむなしさと恐ろしさを描写する。9月15、16の両日には那覇市でトークイベントがある。

【左から】黒田征太郎さん、池澤夏樹さん((C)KANA IKEZAWA)

 池澤さんと黒田さんは2022年から戦争と平和を伝える絵本シリーズを毎年発表しており、本作はその第3弾。文を担当した池澤さんは対馬丸記念館とハワイにあるボーフィン潜水艦博物館に足を運び、取材を重ねた。絵担当の黒田さんは海に沈んでいった子どもたちに思いをはせながら、荒波を描いたという。

 本書では、対馬丸とボーフィンがそれぞれ一人称で自身のたどった歴史を語るほか、事件当時の思いや言い分を吐露。両者の視点から、先の大戦がもたらした負の感情をあぶり出す。

 9月15日は午後2時から黒田さんと対馬丸記念館の平良次子館長によるトークイベントが同館で、午後5時から黒田さんによるトークイベントがジュンク堂書店那覇店で行われる。16日は午前11時から作者2人と対馬丸記念会の高良政勝代表理事によるイベントが対馬丸記念館で、午後3時から作者2人によるトークイベントが沖縄タイムスギャラリーで開催される。参加料などの詳細はスイッチ・パブリッシングのホームページで。

 (当銘千絵)