琉球国王の世継ぎの屋敷で、沖縄戦で焼失した「中城御殿(なかぐしくうどぅん)」の再建に向け、那覇市の首里城公園中城御殿跡地で2日、整備工事の起工式が開かれた。琉球時代の歴史・文化の継承を目的に尚家関係の国宝資料などを展示する施設となる計画。学習施設や地域の周遊拠点として2026年の供用開始を目指す。
施設を整備する県、展示・収蔵などを担う那覇市、美術工芸品の寄託や展示収蔵に関する連携を組む沖縄美ら島財団ら関係機関が、中城御殿の整備と管理運営の覚書を取り交わす調印式もあった。
中城御殿は1879年の琉球処分以降は尚家一家の住まいともなったが、1945年に沖縄戦で焼失。防空壕で保管していた文化財の多くも消失した。施設内には王家ゆかりの屋敷や庭園を再現し、琉球の歴史や文化が体感できる歴史資料を展示する。首里城火災以前に首里城城郭内で展示、収蔵していた沖縄美ら島財団所有の織物、染織、文書類など美術工芸品1119点や那覇市が所有する琉球国王尚家関係資料1292点、伊江御殿関係資料146点などが展示、収蔵される。
中城御殿跡地検討委員会の田名真之委員長は「まだ見つかっていない文化財が返還され中城御殿に展示されることを望む」とした上で「地域の宝として愛されるような施設にしたい」と述べた。
(普天間伊織)