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沖縄県と全国の所得格差、主な要因は労働生産性 りゅうぎん総研が分析 高付加価値化を提言


沖縄県と全国の所得格差、主な要因は労働生産性 りゅうぎん総研が分析 高付加価値化を提言
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 りゅうぎん総合研究所は6日、沖縄県と全国の所得格差に関する分析リポートを発表した。全国との格差の主な要因だった低い就業率が2010年代の県内景気拡大に伴って改善し、20年度には労働生産性が格差の要因の9割を占めるようになったと指摘した。特に基幹の観光産業を構成する宿泊・飲食サービス業の労働生産性が低く、高付加価値化の取り組みなどが必要と提言している。

 沖縄の1人当たり県民所得は2020年度が216万7千円。全国平均を100とした場合の水準は72.8で全国最下位が続く。

 格差の要因について、労働生産性や就業率に着目し、1990~2020年度を対象に分析した。10年度ごろまでは、労働生産性と並び、失業率の高さや就業者数の割合の低さが所得格差を生み出す一因だったが、その後、県内景気は拡大し、人手不足感の強まりから雇用情勢は大きく改善した。

 代わるようにして、20年度には全国と沖縄の1人当たりの所得格差95万6千円のうち、労働生産性による差が86万7千円(90.6%)を占めており、その向上が課題になっている。

 県内の産業別の労働生産性は、基幹産業の宿泊・飲食サービス業(全国46位)や情報通信産業(同39位)がともに下位の状況にある。分析したりゅうぎん総研の金城毅客員研究員は、観光関連産業の高付加価値化や情報通信産業での国内外への販路拡大といった取り組みが必要と強調。「AIの技術進展に伴い、成長性が高い分野への労働力人口の移動も重要になる」と述べた。

(當山幸都)